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ストレスコーピング

 

 「心身ウェルネス」でも学習するように、ストレスは、A)ストレッサー B)認知(評価・解釈) C)ストレス反応によって構成されます。

A)ストレッサー → B)認知 → C)ストレス反応

 私たちは与えられた刺激に対して、なんらかの認知(評価・解釈)を加えます。そして、その認知のあり方によって私たちにはストレス反応が生じます。つまり同じ刺激を与えられてもその認知の仕方によってストレス反応に違いが生じるということです。そしてA)B)C)のそれぞれの構成要素に自覚的に対処することをストレスコーピングと呼びます。ストレスコーピングは現代社会に生きる私たちにとって極めて重要なライフスキルと言えます。そのためいわゆる認知行動療法でもストレスコーピングはとても重視されています。

 ストレスコーピングのポイントは2点です。それは、1)ストレス・コーピングには上記A)〜C)に対処する3種類あること、そして2)そのコーピングを自覚的に行なうことです。

 A)への対処は、ストレッサーを取り除くコーピングです。例えば自己主張をしてストレッサーを取り除く(アサーショントレーニングを参照)、ストレッサーに慣れる、ストレッサーを回避するなどが考えられます。

 B)への対処は、認知を変えるコーピングです。例えば、前向きに考える、長期的な視点を持つ、自分なりの意味を見出だす、などが考えられます。

 C)への対処はストレス反応を取り除く、つまり心身の疲れを取り除いたり発散するコーピングです。例えば、ゆっくり休む、ダラダラする、スポーツをする、瞑想する(マインドフルネスを参照)、ひとに愚痴をこぼす、などが考えられます。

 そして大切なことは、これらのコーピングを自覚的、戦略的に行なうことです。多くの場合、わたしたちはC)のコーピングのみを自覚なく行ないますが、A)B)を積極的に活用し、C) のコーピングも自覚して行なうことが必要と言えるでしょう。

 ご自身のストレスコーピングについて考えたいという方は、「ストレス軽減ワークブック 認知行動療法理論に基づくストレス緩和自習書」(p7「自覚的ストレス尺度」より)などがお勧めです。また学生相談のカウンセラーにも気軽にご相談ください。

 なおSFCのカウンセラーがどんなストレスコーピング法を実践しているのかを紹介するおすすめのCopingもご覧ください。

 

認知行動療法

 認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy:CBT)は、ひとの悩みや問題を1)認知、行動、気分・感情、そして身体反応による個人内相互作用と、2)個人と環境(他者・状況)との個人間相互作用の視点から捉え、エビデンスに基づく臨床技法をクライアントに提供する心理療法です。

 もともと精神分析から発展した認知療法と学習理論に基づく行動療法が1990年代に合流して認知行動療法と呼ばれるようになりました。そのため認知行動療法にはこの2つの流れに起源を持つ様々な技法のパッケージが用意されており、上記の相互作用のアセスメントに基づいて適切な技法がクライアントに提供されます。

 例えば、鬱病の認知的歪みの修正には認知再構成法が適用され、パニック障害の行動回避を修正するためには暴露法(エクポージャー)が適用されます。いずれもその効果が実証されたエビデンスに基づく技法です。また認知行動療法は、クライアントとの恊働作業を大切にするとともに、心理教育を重視し、クライアント自身が認知行動療法を身につけ、自己治癒や再発防止の取り組みができることを目指します。

 また個人と環境(他者・状況)との相互作用に着目するため、ひとがストレスにどのように対処するか、といういわゆるストレスコーピングの技法も豊富に用意されています。マインドフルネス低減法アサーショントレーニングも認知行動療法の技法パッケージのひとつに含めることもできます。

※本センターでも2013年に認知行動療法のワークショップを開催しました。

おすすめの本

 

アサーショントレーニング

アサーションとは?

 私たちには感情がありますが、自分の感情は大切なものであり、そして誰でも自分の声を持つ権利があります。そのままのあなたをきっと受け止めてくれる人がいるでしょう。また、考え方やものの見方を変えたり、こだわりを捨てると楽になることもあるでしょう。そして、言い方をちょっと工夫することで、より上手に自己表現することができるかもしれません。
 ここでは、自分も相手も大切にしようとする自己表現について、ご紹介いたします。アサーションは、自分の意見、考え、気持ち、欲求などを、正直に、率直に、その場にふさわしい方法で話すこと、そして一方的ではなく、同時に、相手が同じように表現することを待つ態度を伴います。つまり、相互的な存在としての他者との交流を基盤とした、人と人とのあり方を提案しています。

3つのタイプの自己表現

  1. 攻撃的(aggressive)な自己表現 : 自己肯定・他者否定の話し方
     自分のことは大切にするけれども相手のことを無視したり、軽視したり、相手を大切にしない自己表現のことをいいます。これは、過剰に自己表現しているとも言えるでしょう。自分の考えや意見、気持ちははっきりと言うことができますが、相手の考えや意見、気持ちは無視したり軽視したりするため、一方的で相手に押しつけた言い方になりがちです。これによって、相手を操作して思い通りに動かそうとすることもあるでしょう。口では「はい、はい」といいながらも、聞く耳を持たない態度もこのタイプになります。
     このようなタイプのひとは、相手が自分と違うことへの不安が強かったり、相手に逆らわれることへの恐れがあったり、相手と向き合って話すことが苦手な場合が多くみられます。そのため、相手と相互に尊重しあうことができずに、人間関係が長続きしない場合もあるでしょう。

    特徴:強がり、尊大、無頓着、他者否定的、操作的、自分本位、相手に指示、優越を誇る、 支配的、一方的な主張、責任転嫁、「私はOK、あなたはOKではない」

  2. 非主張的(non-assertive)な自己表現 : 自己否定・他者否定の話し方
     相手のことは大切にするけれども、自分のことは大切にしない自己表現のことをいいます。これによって、もめ事や葛藤を避けることができ、その場をおさめることには役立つかもしれません。しかし、自分の気持ちや考えを表現しないために、自分で自分を踏みにじる結果になりましょう。曖昧に言ったり、言い訳がましく言ったり、遠回しに言ったり、聞こえないような小さな声で言うこともこのタイプになります。
     このようなタイプのひとは、一見相手を尊重しているように見えますが、相手に対しても自分に対しても率直ではなく不誠実な行動ととらえられるかもしれません。そして、自分の考えや気持ちを相手に伝えられなかったという不全感や後味の悪さから、欲求不満やストレスがたまってイライラしたり落ち込んだり憂うつになったりしがちです。

    特徴:引っ込み思案、卑屈、消極的、自己否定的、依存的、他人本位、相手任せ、承認を期待、服従的、黙る、弁解がましい、「私はOKでない、あなたはOK」

  3. アサーティブ(assertive)な自己表現 : 自己肯定・他者肯定
     自分も相手も大切にした自己表現のことをいいます。自分の考えや意見、気持ちを、率直に、正直に、その場にふさわしい方法で表現します。自分を信頼する気持ちがあり、お互いに信頼しあう気持ちがあるからこそ、可能なコミュニケーションといえましょう。お互いの意見や気持ちの違いによる葛藤が生じることを予想しつつも、葛藤を受け入れ、お互いに歩み寄って解決していこうとします。
     このようなタイプであるためには、自分の気持ちがわかっていないとできないでしょう。また、いつでも、どこでも可能なわけではなく、余裕がないとなかなかできないものかもしれません。

    特徴:正直、率直、積極的、自他尊重、自発的、自他調和、自他協力、自己選択で決める、歩み寄り、柔軟に対応、自分の責任で行動、「私はOK、あなたもOK」

例)こんな状況のとき、あなたならどうしますか?

自分の課題で忙しいときに、友だちから、「彼氏にふられてしまい、今すぐ話を聞いて欲しい」と言われた・・・ それでは、このようなアサーティブな自己表現とは、どのようにしたら可能なのでしょう?

アサーティブに自己表現しよう

  1. 自分の気持ちや考えを正確に捉える
    自分の気持ちや考えを率直に表現するためには、自分がその状況で何を考え、何を感じているか、何を表現したいのかを正確に捉えることが必要になります。自分のこころの声に耳を傾けてみましょう。

  2. 周囲の状況や相手を客観的に観察する
    アサーティブに表現していい相手に対して、何かあったときに、どうしてそうなったのか状況がわかるように説明し伝えてみましょう。自分にも相手にもわかる実際の出来事(=事実)に目を向けて話すことで、自分自身が感情的にならずに、自分の気持ちを冷静に保つことができます。また相手も納得できる事実を伝えることで、お互いに共有できる話し合いの基盤を作ることができます。

  3. 自分の要求や希望を明確に表現する
    状況を客観的に観察し、自分の考えを捉えることができたら、次に、自分の要求や希望を明確に具体的に提案してみましょう。このときに、相手の返事に応じて自分の提案も選択肢をいくつか考ええておけるとよいでしょう。自分の提案は、最終的な結論ではなく、新たな話し合いのスタートになるものです。

  4. ことば以外のメッセージの伝え方を工夫する
    ひととのコミュニケーションは、言語的な表現と非言語的な表現が一緒になって成り立っているものです。ことばの上では明確な自己表現をしていても、その様子は「声が小さい」「下を向く」「怒りをぶつけるように」「間がなく一方的に」といった非言語的な表現であったとすると、相手には自分の意思が伝わりません。言語表現と非言語表現(声のトーン、表情や姿勢)が一致するように心がけることが必要になります。

アサーションの活用

 大学の先生との間で、先輩・後輩との間で、彼氏・彼女との間で、家族との間で、バイト先で・・・、あなたの身近なひととの関係はどうなっているでしょう?攻撃的になったり、逆に自分をおしころしてしまったり、していませんか?相手も意見を言えるようにしていますか?  アサーティブな自己表現ができているか、ご自分の姿勢を振り返ってみてくださいね。

 

マインドフルネス

 マインドフルネス(mindfullness)とは、評価することなく、この瞬間のこころや身体にとどまり,「今ここで生きていること」を実感をするこころのあり方を指します。  その起源は、原始仏教の瞑想にありますが、心理臨床や心身医療への応用は、ジョン・カッパトジンがマインドフルネス・ストレス低減法のプログラムをマサチューセツ大学医療センターに導入したことが始まりだと言われています。
 以来、マインドフルネスは、ストレス、抑うつ、薬物乱用などに幅広く効果があることが実証されてきました。

マインドフルネスは、自然に大きく開いた心で、体験に向き合うようにしてくれます。つまり、それは身体に根ざしており、時間を超え、何かが起こることを期待せず、今この瞬間そのものと友になり、一緒にいることです。マインドフルな意識でいるときは、人生の中で展開されることを観察し、驚き、畏敬、喜びを感じながら、周りの世界や自分自身の本来の美しさと神秘がひとりでに語りかけてくれるようになります−ジョン・カッパトジン

 マインドフルネス・ストレス低減法では、マインドフルネスを体験するための技法として、瞑想法、呼吸法、ヨガなどを取り入れています。これらはいずれも心身の不調への様々な改善効果が期待できますが、「今、ここ」での心と身体に意識を向け、マインドフルネスを体験する作業は、ストレスコーピングとして大きな効果を持つと言われています。  こころのエクササイズ(体育2、3)の授業ではストレスコーピングやフォーカシングのワークの中で腹式呼吸やボディスキャンを実施しています。これらのワークは日常の生活のちょっとした隙間時間にひとりで実践することができます。ストレスを感じるときや気分が前向きにならないときに試してしてみては如何でしょうか。

おすすめの本

 

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私たちが実践するストレスコーピングを少しだけ・・・紹介します。